わだかまり

 今日は、私のたった一人の男のきょうだい、弟の誕生日です。弟のことを書くのは私にとってはとても辛いことです。

 弟は4学年下で、3学年下の妹とは年子になります。2人は小さい頃からよくけんかをして、お世辞にも仲がよかったとはいえません。歳が近いとそうなのかなあと思っていました。女の子3人の中で男の子一人だったので、ちょっと変わってるなあとは思っていましたが、それなりに仲良くしていました。

 ただ弟は、3歳の時には私の教科書を読んだり、家にあるいろいろな本を読むようになりました。小学校に上がるころには、私と一緒に家の百科事典をずっと読んでいました。運動は苦手で、家で電気工作をしたり無線をしたり、手芸もよくしていました。姉である妹の事や同級生の事を馬鹿にするような言動があったりして、いじめられたり仲間はずれにされたりなんてこともあったようです。

 父は自分がスポーツが得意で、いじめっ子でやんちゃだったせいか、正反対の弟とは事あることにぶつかっていました。派手なけんかもありました。弟は進学校に進みましたが、父と進路でもめ、公務員試験を受けて東京へ就職しました。

 離れてからは、年に数回帰る弟といい感じに付き合えるようになりました。それからいろいろなことがあって、父と弟は再び顔を合わせない関係になり、父が胃がんで闘病中も弟は1度も見舞いに来ず、葬儀にも顔を見せませんでした。親戚もずいぶん心配してくれましたが、弟はかたくなに顔を見せることはありませんでした。

 見守っていた母も、葬儀にさえ顔を出さない弟にあきれ、今では話しに出てくることもありません。弟は再婚した際に婿入りしたためその苗字も私は知りません。唯一あんなに仲の悪かった妹だけが年に数回メールの交換をしているようで、居場所もよく分からない状態です(どうやら最近メールアドレスも代わり、連絡が取れなくなったそうです)。

 父が亡くなって10年、弟はどんな気持ちなのでしょう?許すとか許さないとかではなく、聞いてみたい気持ちです。ただ、実際会うことがあったら、私は何を言ってしまうんだろうか…。全く予想ができないのです。

 届くことはないけれど、「お誕生日おめでとう。いつか母さんにだけは会ってあげてほしい。父さんにもお線香上げてほしい。」私はもう会わなくてもいいかな…。