仕事と子育て①

 今でも時々自分自身が暗い表情で長女を抱えベンチに座っている姿がフラッシュバックすることがあります。1つは近くのショッピングセンターのセンターコートのベンチでの私と長女。もう一つは医大のターミナルのベンチでの私と長女の姿です。

 自分の姿がわかるはずもないのに、その時の私の表情は確かに暗く、そこだけピンスポが当たってるようです。

 子育ては孤独だという人もいるけど、私はありがたいことに多くの人に助けられ、超苦手の子育てもぼちぼち終盤を迎えています。でも、あの時の私は本当に孤独でした。自分で勝手に孤独になっていました。

 職場近くの大きな病院で出産後、長女の心臓に穴があることがわかり、長女を抱き、医大に主人の車で向かいました。正面玄関のターミナルに置かれたベンチに長女を抱いて座って車を止めてくる主人を待っていた時だと思います。ダウン症で産まれ、合併症の心臓病があって…。入口の自動ドアの先に全く希望がなくて、孤独を感じていたんだと思います。ほどなく現れた主人が大きな荷物を抱えて、前を歩いてくれました。

 ショッピングセンターでの私は、11月生まれの長女が3月に退院し、夏になりました。3月にできたばかりだった近所のショッピングセンターに初めて長女と二人で出かけたときです。ショッピングセンターの広い通路の中ほどに置かれたベンチに座り、見上げた先にきれいな青空が見えました。ちょうどその頃、なぜかもう職場復帰は諦めなければと勝手に思い込んでいた私です。

 そんな時、一人の青年が声をかけてくれました。「先生、元気ですか?そっか産休でしたよね。産まれたんですね。おめでとうございます。」と、卒業した教え子が声をかけてくれました。孤独だった私はいきなり明るい場所に引っ張り出された感じです。専門学校に進学して夢を叶えたいと話してくれた彼との会話の間、私は笑顔だったかなあと今でも心配です。

 帰り道、ショッピングセンターから家までは車で5分足らず。出産からそれまでなぜかほとんど泣けなかった私の目からボトボトと涙が溢れました。「仕事を辞めたくない。」ずっと抑えていた気持ちも溢れてきました。ずっと好きだと思っていた仕事ですが、私が思うよりずっと私はこの仕事のことが好きなんだと思った出来事でした。  

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by オリックスグループ