今までで一番迷って決断した瞬間

 去年の今頃、一旦決まりかけた異動が1日でなくなり、別に移動したかったわけではなかったのに、なんだか、どこからも「いらん子」だといわれているような気がして、何をやっても、中途半端だった気がします。どうしても同じように何でもやってしまうし、それで別に失敗はないわけですから。

 新任で行った職場で、5年目を迎え、普通なら異動というタイミングの時、丁度1年2年と持ち上がっていて、かわいがっていた生徒と別れるさみしさを強く感じていた私は、先輩の先生に5年で異動すべきか、もう一年残るべきかを相談しました。私が3年持ち上がることが、彼女たちにとって本当にいいことなのかは分からないし、自分のさびしいという気持ちだけで残ることはどうも間違っている気がしていたのです。あんなに迷ったことはありませんでした。

 結局、先輩からは、5年で基本的に異動という県の方針は、それなりに考えられた妥当なラインだと思うと言われました。次の学校では2校目だから、ステップアップできるんじゃないかと言われ、決心して異動の希望を出し、第一希望の職場へ異動が決まりました。残してきた生徒の中にはとてもさびしがってくれて、今でも葉書やメールのやり取りが続いている教え子もいます。異動先では、前任校での私の事を嬉しいことにとても評価してくださって、いろいろな体験をさせていただきました。

 今思えば、先輩のあの時の助言は本当にありがたかったです。初任校での5年間ずっと職場では一番の下っ端で、気づかないうちにいつも誰かに頼っている私がいました。初めての異動をした6年目からは、晴れて一人前の教員としての役割を担えるようになったような気がします。

 実は今日、7年目に教えた教え子が、今の職場に配達に!お互いびっくりです。お互い名字が変わり、見た目も老けましたが、はつらつと働く教え子に元気をもらって老体に鞭打つ私なのでした。