「記憶に残っている、あの日」一番泣いた日

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」

55年生きてきて、一番泣いた日。19歳の秋、大学の留年が決まりました。勉強を、学校を甘く見ていた私は、自分のふがいなさに、家族への申し訳なさに涙が止まりませんでした。どんなに考えても自分だけのせいで、奨学金は止まるし、もちろん卒業は先になるし。それまで頭がいいなんて言われていたわたしのつまらんプライドはズタズタだし。なぜか、進学を喜んでくれていたお祖母ちゃんやお祖父ちゃんに申し訳ないなあとか思ったりして…。

今から思えば、見栄っ張りで変にプライドが高かった自分が本当に情けなくてバカみたいですが、あれ以来「やるべきだ」と思うことはきっちりやるようになって、「やらない後悔より、やって反省しよう。」と思うようになりました。結局失敗も次の成功の糧になることがほとんどなんですから。

今でも時々、夕暮れが近づく頃、車内でハンドルを握りしめて、声を上げて泣いているわたしの姿を思い出すことがあります。どこでも泣けなくて、車内で泣きまくって、目が腫れて、家に帰れなくなりました。最後は頭もガンガンして、気分は最悪でしたが「とうさんに頭を下げて、大学を続けさせてもらおう。勉強頑張ろう。」って腹が決まりました。

翌日、単位を落とした英語の担当の先生を訪ねて、「勉強しなおしたい」と無茶なお願いをしに行ったのです。そこから、少しづつ自分の学びの形が変わっていった気がします。本当の意味での学ぶことの楽しさが実感できるようになりました。

あの一番泣いた日がなかったら、今の私はなかったのです。